今、Zガンダムを見ています。
大人になった今、改めてティターンズの目的、目指したゴールが何だったのか気になりました。
というのも、ティターンズという組織は、映像版ガンダムだけでみるとZガンダムで語られるのみ。表向きの『ジオン残党狩りの精鋭部隊』というのはわかるのですが、いまいち何を成し遂げたかった組織かわかりませんでした。小説版で補完されているのかもしれませんが、小説版を読んだのも小学生くらいだったからよく理解できていなかった。
ティターンズの真の目的はなんだったのか
ティターンズの真の目的を紐解くキーは、やはり設立者のジャミトフ・ハイマンでしょう。
そこで、ティターンズ設立の経緯と、ジャミトフ・ハイマンの思想について見てみます。
ティターンズ設立とジャミトフ・ハイマン
宇宙世紀0083年、デラーズ紛争(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)を契機に、地球連邦政府がジオン残党に対して脅威を認識します。
一年戦争の終結が宇宙世紀0080年、その3年後にガンダムGP02による核攻撃、地球へのコロニー落としと立て続けにこれだけの損害がでれば呑気な事言ってられないですよね。
で、この状況を利用する男がいました。ジャミトフ・ハイマンです。
彼は地球連邦内部に「ジオンってやっぱり危ないから、ジオン残党狩りを目的とした部隊の設立設立しようよ!」と提唱し、ティターンズを創立させます。
ティターンズ総帥 ジャミトフ・ハイマン
ジャミトフ・ハイマンは、アースノイド出身のエリート。
高齢のようだが正確な年齢は不明。
画像:俗物だもの
デラーズ紛争時、ジョン・コーウェンに自ら銃口を突きつけすべての責任を負わせ失脚させる。ちなみに、階級はデラーズ紛争(0083)時は准将、グリプス戦役(Zガンダム)時には大将。
画像:自称世界の支配者「環境を守るために戦争を起こして人間を減らします」
そして、デラーズ紛争からティターンズ創立を成し遂げるジャミトフ。当然、ティターンズは彼の目的遂行のため必要だったはず。
では、ジャミトフの目指したものはなんだったのでしょうか。
ジャミトフ・ハイマンの理念
ジャミトフは「環境汚染に苦しむ地球を守るために、戦争を利用して人類全体を粛清・統御する」という思想の持ち主でした。そう、ジャミトフは地球の再生を目指した地球至上主義者なのです。
小説版Zガンダムで以下のように発言しています。
頑迷な人々は、地球上で掃討し、無知無能な者は、コロニー開発に追いあげる。それが、地球上から人間を排除する方法なのだ。今となれば、地球に残りたがるエリート意識に凝り固まった選民は、危機に陥った地球に残して、飢えさせれば良いのだ。が、そんな手段を講じているうちに地球が疲弊しすぎるという危機感があるからこそ、軍を組織して地球経済に打撃を与え、ついでに地球上の選民を抹殺する
最後の一言は過激ですが根源は「地球を休めるため宇宙移民を促進する」という考えが伺える。
見方を変えれば悪い人物ではない、かもしれません。
ティターンズの真の目的
地球至上主義のジャミトフが設立したティターンズ。
表向きは「ジオン残党兵の掃討部隊」ですが、その目的はジャミトフの地球再生計画を成し遂げるための組織でした。
ただ、こういった話はアニメ版Zガンダムでは触れられることがほぼなかったため、ティターンズは何がしたかったのか不明なまま終わってしまいます。
しかし、PSPゲーム『機動戦士ガンダム ギレンの野望 アクシズの脅威V』でティターンズの勝利でエンディングを迎えると、地球連邦政府に代わって軍事政権を樹立したジャミトフが支配した世界を観ることができます。
腐敗した地球連邦政府を解体し、絶大な権力を手にいれたジャミトフは、その真の目的に向かって動き出し、地球住民の強制移住を伴う新たな人類の管理システムである「地球再生計画」を推し進めるが、それは、ティターンズにとって、裏切りとも呼べる行為であり、ジャミトフへの忠誠心が大きく動揺することになる。だが、ジャミトフは反対勢力を徹底的に粛正することで、混乱を最小限に抑え込むことに成功し、人類は地球上から姿を消し、厳重な管理体制の下、地球環境再生の取り組みが進められた。引用:ジャミトフ・ハイマン – Wikipedia
これがジャミトフが支配した場合の未来です。
この内容からジャミトフにしてみれば、ティターンズも駒のひとつでしかないようですね。
しかし、このジャミトフの目指した世界は『逆襲のシャア』のシャアが望む世界とも遠からずという感じではないでしょうか。まあ、ガンダムという作品は地球をどう扱うか、という点が常に火種になりますからね。
ティターンズの設立から崩壊まで
ティターンズの目的は理解できましたが、せっかくなのでティターンズの設立から崩壊も追ってみます。
ティターンズ設立
前述した通りティターンズは、0083年12月ジャミトフ・ハイマンにより「ジオン残党狩り」を目的とした精鋭特殊部隊として設立されました。
画像:ぐれのブログ
ティターンズの勢力拡大
デラーズ紛争での地球連邦に対しての核攻撃、コロニー落としとティターンズが地盤を固めるには十分だったと思われます。
また、ジャミトフは大陸復興公社と、地球の賭博組合であるインターナショナル国債管理公社の総裁でもあり、それが資金源でもあった模様。ちなみに、公社とは『公共性の高い事業を経営するため、国または地方公共団体が出資や貸付けなどの方法によって設立した法人』とされており、おそらくガンダムワールドでも同様の定義と思われる。
さらに、『機動戦士ガンダム0083』のガンダム計画の予算もティターンズに流れたようです。
とはいえ、ガンダム・インレなどあれだけ大掛かりな「TR計画」を進められるとは思えませんが。
ティターンズの崩壊
宇宙世紀0087年3月2日、ティターンズはガンダムMr-Ⅱを開発。しかし、エゥーゴに奪取された事をきっかけにグリプス戦役が勃発(機動戦士Zガンダム)。詳細はZガンダム本編が全てですが簡単にティターンズの動向を見てみましょう。本編にのっとった流れとなります。
- エゥーゴにガンダムMr-Ⅱ3機奪取される(第1話)
- カミーユの母、父を人質にとり戦乱のなか2人とも死なせる(第3、5話)
- 30バンチ事件(作中ではティターンズの過去の悪行として惨状となったコロニーを訪れる)(第7話)
- ジャブローの核で自軍ともどもエゥーゴを巻き込もうとジャブロー自爆(第12話)
- ホンコン・シティでサイコガンダム大暴れ(フォウの独断でもあるが)(第17話)
- パプテマス・シロッコの参画(第21話)
- エゥーゴ総司令ブレックス・フォーラー准将の暗殺(第24話)
- フォン・ブラウンへのコロニー落とし未遂(第25話)
- ヤザンの策略でエマによる射撃でジャマイカン戦死(第26話)
- サイド2に毒ガス攻撃未遂(第29話)
- シロッコ、アクシズのミネバと謁見(第33話)
- コロニーレーザーをサイド2の18バンチコロニーに照射し壊滅(第40話)
- ハマーンによりアクシズがゼダンの門(旧ア・バオア・クー)へ激突(第45話)
- シロッコがジャミトフ・ハイマンを暗殺(暗殺はハマーンによるものと容疑を擦り付ける)(第46話)
- レコアの攻撃でバスク・オム戦死(第48話)
- 最後の最後までいいとこのなかったジェリド・メサ戦死(第49話)
- エゥーゴに奪取されたコロニーレーザーによりティターンズはほぼ壊滅。シロッコもスイカバーにやられ、事実上のティターンズ壊滅(第50話)
とまあ、傍若無人がうかがえるわけで崩壊すべくして崩壊したという感想しかありません。
画像:CORE3
Zガンダムを観ていたらわかるかと思いますが、とにかくジャミトフがバスクを管理しきれなかった点につきる気がしますね。悪行のほとんどがバスクの判断で、ジャミトフもけん制のためシロッコを引きこむが結果的にけん制どころか、シロッコに裏切られるわけで。
ティターンズの崩壊は、ジャミトフの監督不行届きにつきるかと思います。
グリプス戦役後のティターンズ
グリプス戦役後は、小惑星ペズンでのニューディサイズ蜂起(ガンダム・センチネル)や、ニシザワ中佐率いるテルアビブ分遣艦隊による地球核攻撃未遂(ADVANCE OF Ζ 刻に抗いし者)など、戦役終結直後もその思想を受け継ぐ組織やティターンズ残党による騒乱が確認できる。
また、火星圏へ逃れた一派は「レジオン」と呼ばれるジオン残党軍に接触する外伝もある(AOZ Re-Boot GUNDAM INRE -くろうさぎのみた夢-)。