ニュータイプとは何か 事例からみるニュータイプだからできること

ニュータイプってなに

ニュータイプとはガンダムに登場する特殊な力を持った人たちです。

私はモビルスーツが動いていれば満足(今もそれで満足)なガンダム好きですが、大人になり改めてガンダム、Zガンダム、ガンダムZZ、逆襲のシャアとみたうえでニュータイプとは何なのかという事をかきとめてみます。未だに正確な定義はないのかもしれませんが『機動戦士ガンダムNT』でニュータイプとは何か一定の解答がでたようにも思えます。

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ニュータイプとは何か

一言でいうなら『宇宙に進出したことで新しい感覚を身につけた人たち』といったところでしょうか。

ニュータイプのできること

ニュータイプのできることをみてみます。まずは「富野氏のガンダム作品(ガンダム、Zガンダム、ガンダムZZ、逆襲のシャア)のニュータイプとは」としておきます。閃光のハサウェイ、F91、VガンダムについてはガンダムNT以降の時代設定のため除外しておきます。

というのも、後述しますが福井氏のガンダム(ガンダムUC、ガンダムNT)は「富野ガンダムの描いたニュータイプの先」を解釈をしているため(いい悪いはおいておいて)切り分けておきます。

サイコミュ兵器を操作することができる
ビットやファンネルなど特殊な兵器を脳波で操ることができる。ニュータイプ、もしくは強化人間かどうか一番分かりやすい判断材料。
ニュータイプ同士での精神的な会話
ニュータイプ同士(もしくは強化人間)で相手の心理を共有できる。ただお互い知られたくないことも覗かれるような面もありハマーンはカミーユにたいして「よくもずけずけと人の中に入る!恥を知れ 俗物!」と言っている。
危機を察知できる
遠くの味方の危機の察知や攻撃の標的となった場合、敵意を向けられた場合など感じとることができる。「感がいい」ともいえる。

細かなニュアンスなど除けばこんな感じですかね。

ニュータイプ(強化人間)によるオカルト現象

ガンダムではサイコミュ兵器の使用やニュータイプ同士の会話、危機察知などはよくみられますが、こういったシーンとは違うニュータイプの影響力についてみてみましょう。

フォウムラサメによるサイコガンダム召喚

Zガンダムに登場するフォウムラサメが、キリマンジャロで自分の搭乗機であるサイコガンダムを思念により呼び出します。ホンコンシティでも自分の居場所へ導くように誘導しています。ガンダムUCでもネオジオングと対峙したバナージがユニコーンを呼び寄せますが、元祖はフォウムラサメですね。

Zガンダムのビーム攻撃の無力化と巨大ビームサーベル

Zガンダムでの一幕。最終決戦となるグリプスでヤザンの乗るハンブラビに対して怒るカミーユがオカルト現象を引き起こします。その影響は、ハンブラビのビームを無力化し、Zガンダムのビームサーベルを何倍もの出力?としてハンブラビを撃墜します。

Zガンダムでもビーム無効あったんだ。小さいころみていたので覚えてなかったな。

Zガンダムのジ・Oに対してのスイカバーアタック

有名なシーンですね。死者の魂を吸い力にかえジ・Oを動作不能にするわけです。この死者とニュータイプの関係性は『機動戦士ガンダムNT』でもう少し具体的な解答が示されます。

巨大化するジュドー

妹リィナを傷つけられ激昂するジュドーがなんと巨大化。これについては、まあ演出ということでしょうが。
「この私にこんなにもプレッシャーをかけた… あれは危険すぎる!」(ハマーン談)

パワーダウンしたZZを動かす

最終決戦でパワーダウンしたZZを動かす。

リガズィがαアジールのメガ粒子砲をはじく

このシーン、逆襲のシャアをあらためてみるまで失念していました。
物語終盤、チェーンが半壊したリガズィに搭乗し、クェスのαアジールとハサウェイのジェガンの間に入るわけですが、αアジールのメガ粒子砲をサイコフィールド?で弾くような演出が見られます。

νガンダムによるアクシズショック

チェーンの持ち込んだサイコフレームとニューガンダムのサイコフレームにより、人類の想いが摩訶不思議な現象を起こし落下するアクシズを地球圏から遠ざけることになります。後にアクシズショックと呼ばれるようになり、世論向けにはラーカイラム(ロンドベル)による作戦の成功と公表されます。

ユニコーンガンダムのサイコミュジャック

クシャトリヤのファンネルの制御をバナージのユニコーンガンダムが掌握。ようはファンネルの乗っ取り。今までにない手法だったので取り上げてみました。

ユニコーンガンダムによるガランシェールの引き上げ

成層圏の戦艦を宇宙にひっぱりあげるという無茶苦茶なことをしでかす。が、それは以前アムロレイが引き起こしたアクシズショックと同じ現象のようにみえる。

バナージによるユニコーンガンダム召喚

Zガンダムのフォウがサイコガンダムを呼び寄せたように、バナージも同じようにユニコーンを呼び寄せます。
ガンダムNTでも、ゾルタンがセカンドネオジオングを呼び寄せるシーンがあります。

ネオジオングのサイコシャード

フル・フロンタルが造ったとされていて、その中身はブラックボックスとされている謎兵器。一応、小説版ガンダムUC、不死鳥狩りではサイコフィールドを拡張させるといったような説明がなされている。搭乗者の思考を物質的に影響を与えることができる。
ガンダムUCでは、ネオジオングがユニコーン、バンシィの兵装全てを爆破している。ユニコーンのバルカンは弾倉が空になっていたということで爆発していない。

ネオジオングによる時間旅行

サイコシャードによって創り出されたサイコフィールドの影響なのか、フロンタルとバナージは刻(とき)を見る事になります。フロンタルの口ぶりから、フロンタル自身はこの現象(刻を感じ取る)について知っているようです。

フロンタル「やはり君にも見えるようだな。では、この宇宙の刻の果てまで共に行こうか バナージ君」

ユニコーンガンダムによる時間巻き戻し現象

覚醒し真のニュータイプになったバナージのユニコーンガンダムは、メガラニカに進行するモビルスーツ群を片手で振り払うような仕草だけで無力化します。

この演出、映像版だけではわからなかったのですが機体のジェネレータが停止したわけでなく、ジェネレータは組み立て前に戻ったように分解された事が判明している。これは、ガンダムUCの小説や『機動戦士ガンダムNT』の前半でも語られています。

また、ユニコーンガンダム自身も結晶化した時の装甲が何事もなかったように復元されるわけで、この現象も刻(とき)をあやつる、巻き戻すということかもしれません。

フェネクスとリタ・ベルナル

ガンダムNTで語られるわけですが、リタとフェネクスと一体化した存在?となっています。
ちょっとわからないのが、リタはフェネクスと一体化(サイコフレームに意識が定着)していたのか、それとも死者の世界から干渉(遠隔操作のような感じ)していたのかどうもわからない。

ペンダントの復元

フェネクスのコクピット内で、幼少期にバラバラになった父親の形見のペンダントがヨナの目の前で復元されます。

ヨナの肉体的退行

ペンダントの復元と同じようにヨナ自身の肉体も幼少期の頃まで退行した描写があります。小説を読む限りは、ジュドーのような映像的な演出ではなく実際に肉体が幼少期に戻ったとされています(後で確認)。

ニュータイプによるオカルト現象は以前からあった

ガンダムUCの「あのコロニーレーザーを受け止めるなんてやりすぎじゃね」と思っていました。しかし、あらためて宇宙世紀のガンダムをみてみると、なかなかにオカルト現象と思える事がたくさんありました。

ややこしくなるだけなので触れたくないのですが、原作者の考えについても簡単にみてみましょう。

富野氏のニュータイプ論

いざ富野氏の考えをみてみるが、富野氏もガンダムという作品を描いていく中でニュータイプ像を創りあげていることがわかった。そのため富野氏のインタビューでも時期によってニュータイプに対する考え、捉え方に変化がある。

機動戦士ガンダム 1979年

当初はあくまでも「戦闘の素人である筈のアムロが、いきなりモビルスーツを操縦して超人的な活躍ができることの言い訳でしかなかった」と語っている(当時は「我ながら凄いものを思いついた!」と歓喜したらしい)。
このニュータイプという観念を使って『機動戦士ガンダム』の後半2クールで「人間の革新論」について描くことを考えた富野監督であったが、そもそも答えとなるような哲学を用意していなかったがゆえに上手く作劇に活かすことができずに困り果ててしまい、本放送時に43話に短縮しての打ち切りが決まった時は心底助かったと感じたという。引用:ニュータイプ (にゅーたいぷ)とは【ピクシブ百科事典】

いきなりびっくりしますよね。制作側のリアリティあるコメント。
しかし、図らずも物語の補足程度のニュータイプという言葉が放映終了後「メッセージ」としてひとり歩きしてしまう。

機動戦士Zガンダム 1979年

もう考えなくていいと思ってたニュータイプ論について再び向き合わざるを得なくなってしまい、富野監督は「完全に失敗だった」と後悔。 引用:ニュータイプ (にゅーたいぷ)とは【ピクシブ百科事典】

密会〜アムロとララァ(小説)1997年

ガンダムF91、Vガンダムなど造るなかで体調を崩す。その後、復帰のためのリハビリとして初代ガンダムを題材たその時の富野氏の中のニュータイプ論について触れられている。私は未読ですがkindle版もあるようなので読んでみようかなと。

富野由悠季の小説。アニメ『機動戦士ガンダム』のテレビシリーズ第40話と第41話をベースに、ララァ・スンを中心に本編主人公のアムロ・レイとララァの庇護者であるシャア・アズナブルの関係を描いた作品である。引用:密会〜アムロとララァ – Wikipedia

新訳Zガンダム 2005年-2006年

原作・脚本・絵コンテ・総監督を務める。
新訳Zガンダムのインタビューで「真のニュータイプとは、今までのニュータイプ論で描いた精神的な共感に加えて肉体的な体感を持ち、それらを隣の人を大事にするために活かすことができる人である」という隣人愛の結論を描き、新訳Ζのカミーユ・ビダンこそ究極的なニュータイプと発言している。

富野氏の最新のニュータイプ論 2016年

その後、紆余曲折あるが現時点での富野氏のニュータイプ論は「我々はニュータイプにはなれない。だが絶望はしない。普通に死んでいけることがいい、手の届く安心、明日安心して目を覚ませる安心、そういう地球を作ることが大事だ」となっている模様。

福井氏のニュータイプ論

今の宇宙世紀のガンダム制作状況をみると公式に「富野ガンダム」を引き継いだといってもいいのかもしれません。
ネットのコメントではさまざま言われていますが、大前提として福井氏は富野氏の大ファン。富野氏も福井氏の仲人として結婚式にも参加しているようです。
しかし、今後『UC NexT 0100 PROJECT』として辻褄あわせしながら宇宙世紀のガンダムワールドを構築しなければいけないわけで、いろんな意味で大変だろうな。

『亡国のイージス』、『終戦のローレライ』の原作者だったんですね、知らなかった。どちらとも映画版はみたことがあります。

機動戦士ガンダムUC 虹にのれなかった男(コミック)

この作品でも「ニュータイプとなんぞや」という疑問に福井氏の見解が描かれている。コミックとしても1巻完結で読みやすいので、興味があれば読んでみるといいかもしれません。作品としてはガンダムからガンダムUCの直前までを完全にブライト視点で描いた話。

機動戦士ガンダムUC

小説版を原作として執筆、その後OVA版ガンダムUCのシリーズ構成(ストーリー)に携わる。
2016年のテレビ版『機動戦士ガンダムユニコーンRE:0096』でもシリーズ構成(ストーリー)として関わる。

機動戦士ガンダムNT

ガンダムUCのスピンオフ的な感じで後のガンダムNTの原作ともなる『不死鳥狩り』を執筆。
その後、不死鳥狩りを原作として小説版『機動戦士ガンダムNT』発表、劇場版『機動戦士ガンダムNT』が2018年11月に劇場公開。

ダ・ヴィンチ1月号でのインタビューでガンダムUC、ガンダムNTについて語られています。制作側の考えを知るために読んでみてもいいかもしれません。
以下、ダ・ヴィンチ1月号でのインタビューで気になった部分の引用です。

『UC』の最後でかなり無茶なことをやったので、「あれは何だったの?」っていう。もちろん我々には確固たる論理があってやったんですけど、でもまあ、トンデモには見えるよねと。これまでも、続編以降のガンダムはいつもそうでしたしね。でも、今までのガンダムを含めて、ああいう一見トンデモなことになるのって、実はちゃんと論理立ったものがあるんですよ、ってことをここで説明すれば、『UC』でモヤモヤした人たちへの返答にもなるし、そもそものニュータイプ論の再定義にもなるので、今ならマスに繋がるかなと。

『NT』では、ニュータイプとは額に稲光が出てビームを避けることができる人間ではなく、最も異常な点は、死んだ人と会話ができることだと定義しています。

またUC NexT 0100 PROJECTで宇宙世紀を補完していくなかで、F91あたりでニュータイプというものが下火になっている事の整合性をどうしていくかという疑問には以下のように解答しています。

いや、否定されていくんじゃなくて、こんなものだったのか、ということに人間が直面する話になるんじゃないでしょうか。例えば、核兵器は危ない、でも、広島と長崎に落とされることがなく、それを誰も使ったことがなかったら言葉だけで終わっていたはずです。でも、核兵器の危険さが骨身に染みて、実際にその後70年以上にわたって使われずに済んでいるのは、広島と長崎が焼かれたという人類の共通体験があるからこそですよね。ということは、ニュータイプに関してもどこかで一度非道い目にあって、威力を目の当たりにすることがあるだろうと。

虐殺とかいうことではなく、生死の界面を揺るがしてしまう、最後の審判みたいなことが起こる……まだ考えていないけれど、そこまで足を踏み込みかねない、危険なものだということですよね。

全文は『機動戦士ガンダムNT』が示すニュータイプの未来とは――脚本・福井晴敏インタビュー | ダ・ヴィンチニュースから読むことができます。

機動戦士ムーンガンダム(コミック) 連載中

ガンダムAで現在連載中。
ガンダムZZから逆襲のシャアまでをつなぐ物語。物語の進行はやや遅いかな。

ニュータイプとはなんだったのか

私はガンダム作品を掘り下げもせず、インタビューも拾い読み程度ですので真意は測りかねますが、原作者たちの言葉を出しちゃうとややこしくなりますね。

今一度、宇宙世紀のガンダムにおけるニュータイプについてまとめておきます。

サイコミュ兵器を操作することができる
ビットやファンネルなど特殊な兵器を脳波で操ることができる。
ニュータイプ同士での精神的な会話
相手の心理を共有できる。ただ心を覗かれるという側面もありハマーンはカミーユに「よくもずけずけと人の中に入る!恥を知れ 俗物!」と吐き捨てる。
危機を察知できる
遠くの味方の危機の察知や攻撃の標的となった場合、敵意を向けられた場合など感じとることができる。
刻(時間)を知覚できる、影響を与えることができる【NEW!】
どのように知覚できるかは不明ですが時間という軸を理解できるようになる。世界が3次元空間から4次元時空になるのかしら。
肉体を捨て魂のみになれる【NEW!】
サイコフレームを依代とし、肉体を捨て魂となることができる存在へ。精神体のみで存在するって事ですかね。

といったところでしょうか。NEWとした項目がガンダムUC、ガンダムNTで語られた「ニュータイプとは」の追加要項でいいのかしら。

「刻がみえる」というのはガンダムでララァが、ガンダムUCではマリーダさんが似たような発言をしていますね。
肉体を捨てるという点については、具体的にどういった条件ならサイコフレームに定着できるのかは不明。また、仮に魂というものが存在するとして「成仏」といった概念はあるんだろうか。あのまま宇宙を彷徨いつづけるのも苦な気がするが。
まあこの命、魂については以前からある題材でさまざまな解釈があると思いますが。

とにかく、私としては『ニュータイプとはこういうことだ』は二の次でいいので、変わらずモビルスーツがグリグリ動いてもらえるようガンダムワールドが続いていけばいいかなと思っています。

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